農業と動物福祉の研究会は1日に、「EUにおける家畜の健康と福祉戦略が日本に及ぼす影響」と題してシンポジウムを開催した。
EUは2006年1月に動物福祉5カ年計画を策定し、動物福祉の科学的研究に多額の助成金を支給することを決定した。家畜福祉に配慮した農畜産物を認証し、ラベル表示をすることによってEUの農畜産物のグレードを高め、世界市場に販路を展開するという意図がある。2010年には家畜福祉法令に関する情報収集と保存のためのデータベースを確立し、welfare
quality(家畜福祉品質)の認証を受けた製品:WQラベルが日本に輸入されることになる。
シンポジウムでは、
@OIE(国際獣疫事務局)のガイドラインの進展内容とそれを先導するEUの最近の家畜の健康と福祉政策
A農業者や畜産関連企業がその経営環境の変化に対応してどのように家畜の健康・福祉に配慮した品質ラベルとアグリフードチェーンを 開発しつつあるか
B2010年以降の日本の畜産マーケットにそれがどのような影響を与えるのか
C日本の生産・流通・消費のなかではどのような取り組みがなされているのか
を報告し、日本の取り組むべき緊急課題を提議した。
ディスカッションでは、
・EUとは根本的な考え方・価値観の違う部分がある。日本は日本なりに福祉に目を向けているということをアピールする必要があるだろう。
・放牧などによる野生動物との接触、病気の流入など対策が必要である。
・動物福祉の考え・意識を消費者に広げることが重要。日本では食育・ペット飼育など動物福祉を受け入れられる下地はあるだろう。
・生産者と消費者の距離を近づけ、意識改革を促す必要がある。消費者がかわらなければ解決しないだろう。市民レベルでの議論にしなく てはならないだろう。そうしなければ生産者は大変なことになる。
・現在、農産物の付加価値を価格に還元することはむずかしい。
・消費者は価格で評価し、行政としても生産者へ向けての補助が必要になる。
・畜産の多面的機能に動物福祉を入れる必要があるのではないか。独自での支持は厳しいのではないか。
・安全・安心はリンクしている。今後情報を積極的に開示していく必要がある。
などの意見が出た。
当研究会は、農業経済、動物行動、家畜衛生、農家、農業団体、食品企業、消費者団体、動物福祉団体等が参加し、研究と実践を結びつける活動をし、一般への情報提供を行っている。
当研究会は、今後も関係者を集めてシンポジウムを開催し、内外の情報とともにこれからの日本型畜産の生産・加工・流通・消費のあり方について幅広く議論し、提言を行う予定だ。
農業と動物福祉の研究会(JFAWI)
http://www.jfawi.org/