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DJBusiness(旧牛乳生活情報)ちょっと立ち読み:DJBusiness vol.2
【DJBusiness Vol.2】
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DJBusinessVOL2 (P7〜23)
特集 日豪EPA/FTA交渉を読む

昨年末に日豪両首相の電話会談で日豪はEPA交渉に入ることが決まった。このことは、酪農乳業界に激震を起こすことになった。
両国間のモノの輸出入だけでなく、金融やサービスをも含めた包括的協定をめざす日豪EPA交渉だが、その試算と評価は分野によってさまざまである。
そこで本特集では、生産者団体や経済学者などに、交渉に向けた取るべき対応などを聞いた 。
日豪EPA交渉から乳製品を除外しなければ日本の酪農が窮地に立たされることは必至だ。--だから無関心ではいられない

日豪EPA/FTA交渉締結で酪農はどうなる?
日豪EPAは本当に相互利益のある協定か?
 2005〜2006年に行われた5回の共同研究結果がまとめられ、昨年12月に交渉入りが正式に決定した日豪EPA交渉。4月23日に、いよいよスタートした。EPAとは、簡単に言えばヒト・モノ・カネを両国間でより流動化させ、双方に経済的メリットをもたらす協定だ。今回の日豪EPA交渉は、本当に相互利益のある協定をめざせるのだろうか?

FTAとは? EPAとは?
 さて、日豪交渉を「日豪EPA/FTA交渉」と表記しているのを目にして混乱したことはないだろうか?
 一般に、FTAとは自由貿易協定(Free Trade Agreement)を意味し、物品にかかる関税の廃止や低減、その他の関税障壁を取り除いて2国間以上の通商上の自由貿易地域を締結する協定のことを指すもの。一方、EPAとは経済連携協定(Economic Partnership Agreement)を意味し、FTAでの関税障壁の撤廃や削減に加え、経済制度の調和やサービス、投資、人的資源などあらゆる経済領域での連携を深めた協定を指すものだ。
 ただし、オーストラリアではFTAにサービスや金融などを含んで捉えているため、表現上「日豪EPA/FTA交渉」となる場合が多い。本誌では、便宜上、「日豪EPA交渉」と表記することにする。

 さて、EPAやFTA交渉とは、WTOでの取り決めを補完する2国間以上の協定だ。よって、一般に重要品目の扱いや関税率については、WTOの議論より進んだものである場合が多い。また、これらの協定の締結や計画は盛んに行われており、世界で150近く締結されている。

各国のEPAやFTAの動き
 今、世界中ではEPAやFTA締結に向けた動きが以下のように積極的に進められている。

@米国:米国はブッシュ政権以前に三つ、それ以降に近年四つのFTAを締結している。なお、交渉妥結済みが五つ、交渉中が八つ、交渉開始見込みが二つあり、合計22の協定が何らかの形で存在している。
AEU:前身のECが世界のEPA/FTAのさきがけ。すでにEUとして加盟締結したものは24カ国。現在交渉中のものは三つ、申請中のものは五つある。
B中国:中国はASEANをはじめとする周辺諸国や地域との関係の拡大などを中心に協定を進め、すでに締結したものが4協定、交渉中のものが五つ、共同研究中のモノが三つある。
C豪州:豪州はアメリカとの関係を基本としつつ、アジア太平洋地域を外交・貿易上の優先地域と位置づけ、関係の緊密化を図っている。すでに締結したものは四つ、交渉中のものは三つ、交渉開始予定が日本を含め三つある。

日豪の共同研究の中身とは?
 外務省発表の「日豪貿易経済枠組みに基づく共同研究」によれば、日豪関係は「かつてないほど緊密な関係にある。両国関係は、政治・安全保障上の関係や経済関係、また、人と人との関係を含む包括的な戦略的関係として特徴付けられる」ものであるとされている。
 報告書では両国の経済関係については、「日本は、オーストラリアにとって最大の貿易相手国であり、長年にわたって最大の輸出市場である。オーストラリアの対日輸出額は2005年に316億豪ドル(およそ2兆7000億円)に達した。これは前年より24%の増加であり、オーストラリアの対中輸出額と対米輸出額を合わせた額を上回っている」であり、「オーストラリアは日本にとって12番目の輸出市場であり、7番目の貿易相手国でもある。日本の対豪輸出額は2005年に1兆4000億円(およそ166億豪ドル)に達した」と報告している。さらに、「オーストラリアは日本にとって5番目の輸入相手国であり、オーストラリアは日本にとって世界で3番目に大きな鉱物及びエネルギーの供給国であり、日本のエネルギー供給に最も大きく貢献する国である。日本経済の活力にとって、オーストラリアからの鉱物及びエネルギーの安定供給は不可欠である」としている。

 そのうえで、日豪EPAの影響を、@両国のGDPと貿易は増加する(豪州:0.66〜1.79% 日本:0.03〜0.13%)、A日豪の多くの産業で輸出、生産、雇用が増加するが日本の農業分野では生産が大幅に減少するとともに農業及び食糧分野で雇用が大幅に減少する、B米国、EU、中国、ASEAN等豪州以外の主要な国や地域は日本への輸出の減少等の悪影響を受ける、と評価している。
 このため、共同研究では、「5つの分野(豪州作成:「自動車」「投資」 日本作成:「農業」「コンピュータ及び半導体」「IT関連サービス」)において、自由化の影響に関するケーススタディーを実施した。自由化は構造改革等、他の要素とともに貿易量の増加につながる部分もあれば、自由化を慎重に扱う必要のある部分もあった」とまとめている。
 そして最終報告書には、「(関税の)段階的削減のみならず『除外』『再協議』を含むすべての柔軟性の選択肢が、交渉において使い得るべきであることに合意した」と記され、EPA交渉でのセンシティブ品目の取り扱いについて、柔軟で建設的なアプローチが求められるとしている。

「1兆3716億円」と経済被害を算出した北海道
 日豪EPA交渉でセンシティブ品目の関税が撤廃された際の影響について北海道は、農業への直接被害と関連産業への間接被害、経済や社会に与えるダメージを合わせて1兆3716億円になると試算している(表1)。
 このため北海道農政部では、日豪EPA交渉でセンシティブ品目の関税撤廃を断固として反対するよう、広く呼びかけている。

日豪間だけの問題ではない
 北海道の試算には、日豪間の関税撤廃による影響を、豪州からの輸入拡大だけでなく米国やカナダなどの諸外国からの輸入拡大も含まれる。なぜこうした数字が試算に含まれるかと言えば、日豪間で関税撤廃が決まれば、諸外国も日豪EPAをベースに関税の引き下げや撤廃を求めることが十分に考えられるからだ。
 このように、最大の輸出国である豪州とEPAを結ぶことは、諸外国との交渉においても大きな影響を残すことになりかねない。そうなれば、北海道が試算するように、日本のセンシティブ品目にかかわる産業は本当に壊滅的ダメージを受けることになるだろう。
 本誌では、この特集を通じて、今回の日豪EPA交渉において乳製品を含むセンシティブ品目を確実に守る強い交渉、つまり日豪両国間の共同研究報告書に書かれた「除外」や「再協議」を含む柔軟な対応が実を結ぶことを期待する。
《More Information〜もっと知りたいあなたに〜》

日豪経済関係強化のための共同研究最終報告書:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/pdfs/houkoku_ja.pdf


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