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Dairy Japan Notes(でーりぃ・じゃぱん・のーと) 9月号
牛乳有害説になぜいとも簡単に翻弄されてしまうのか

今また大手を振っている牛乳バッシング

 牛乳有害説、いわゆる牛乳バッシング(牛乳たたき)が今また大手を振っている。
 5年前にも、ある雑誌に掲載されたその手の記事に対して農水省が内容の訂正を求めたことが思い出される(参照:農水省のホームページ www.maff.go.jp >報道・広報>各種報道に対する農水省の考え方)。
 この類は、消費者が鼻もかけないレベルのものであれば黙殺もされようが、目に余る暴論であったり、消費者を翻弄したり、混乱と不安を与え、しかも酪農乳業の産業発展に逆風を吹きつけようとするものであるとしたら、われわれはそれらを跳ね返す何らかの措置をとらなければならない。

牛乳乳製品の本当の姿と意義を訴えるシンポジウム

  そうしたなか、酪農学園大学および酪農学園ミルク産業活性化推進会議は7月27日に、札幌市内で連続公開シンポジウム『ミルクと酪農の真実と未来』を開催した。第1回目である今回のテーマは『ミルク・Milk』で、大昔から世界中の人々に豊かな食生活と食文化をもたらしてきた優れた食品である『牛乳と乳製品』の本当の姿と現代生活における意義を明らかにし、その機能を正当に評価することを目的としたもの。まさに、先の逆風を押し返すためのものである。
 シンポジストとして、石井智美氏(酪農学園大学 食品科学科 助教授)が『牛乳乳製品は優れた食品−その文化と現代生活』、仁木良哉氏(酪農学園大学客員教授・北海道大学名誉教授)が『ミルクの科学−牛乳の正当な評価』と題して講演した。ちなみに仁木氏は、いま世間を騒がせている牛乳有害説に新聞を通じて反論を唱えた1人で、その内容は日本酪農乳業協会(J-milk)のホームページでも紹介されている(参照:www.j-milk.jp >ニュース&トピックス)。

今こそ新しい日本の乳食文化が開花する

 石井氏は、『栄養学的見地からの牛乳乳製品の効用』として、発酵乳の免疫能アップ効果、例えば、手術前に発酵乳を喫食すると抗生物質の投与量が減少し、さらに傷口の塞がりや治りが早いことから、早く退院することにつながり医療費削減も期待できることを紹介した。また、「牛乳についてさまざまに論じられている今こそ、新しい日本の乳食文化が開花する可能性があるのではないか」と提言した。

牛乳は極めて優れた食品である

  仁木氏は、バッシングの多くはフードファディズム(食物や食品成分の健康への影響について、科学的検証を加えずに、過大または過小評価し、商品の宣伝に悪用したり、消費者を不安に陥れる情報を発信したりする風潮)に属するものであるとし、牛乳有害説への反論を科学的に解説した。そして、「数少ない論文を引用し、都合の良いところだけを取って『牛乳を飲むと骨粗鬆症になる』と言っているのはフードファシズムそのものである」と語った。さらに、「牛乳はわれわれにとって完全食品ではない。しかし極めて優れた食品である。また、食品は薬ではないことも再認識すべきである」と提言した。

食品と健康の関係に過敏な消費者への対処法とは

  「なぜ、牛乳有害説がベストセラーになってしまったのか?」というフロアからの質問に対して、仁木氏は「今まで言われてきた(牛乳の)常識が消化されていなかったのではないか」と答えた。これは非常に重要な視点である。
 われわれ人類は、牛乳が優れた食品であることは遥か大昔から経験を通じて知りし、それは食文化の一つとして発展し、牛乳乳製品は生活の一部となっている。にもかかわらず、いとも簡単にフードファディズムに誘導されてしまうのはなぜか。それは、食品と健康の関係に対して現代の消費者の関心が高まるなか、健康に不安を持つ者ほど、そのことに過敏になっているということではないだろうか。
 ならばわれわれ酪農乳業は、そうした消費者の不安を和らげる情報、つまり牛乳乳製品は極めて優れた価値と機能が備わった食品であることを、今流に伝え続けていくことも使命の一つであろう。
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